神経の治療で、なかなか痛みがとれない。
Q: Tさん 40代 男性
今、他の病院で神経の(根っこの?)治療をしてるところなんですが、全然改善してる感じがありません。虫歯が大きくて神経をとったのですが、もう半年くらい通ってるのに噛むと痛い状態が続いています。通院する度に中に入れる薬を交換しているみたいですが、今でも噛むと微妙に痛いんです。それについて特に説明もありません。どうしたらいいでしょうか?
A: 院長 矢島
御質問ありがとうございます。
まず、神経の治療は大きく2種類に分かれます。ひとつは、大きな虫歯などの理由で生きている神経を取って、痛みが出ないようにする「抜髄」。もうひとつが、一度抜髄をして治療完了した根っこが、再び感染を起こしてしまって根の先に膿の袋を作ってしまう状態を洗浄する「感染根管治療」です。治療を続けているにも関わらず、なかなか痛みが取れない原因は、主に
1.神経の管の汚れの取り残し
2.治療中の歯に過度な負担がかかっている
3.消毒の薬の影響
4.根が壊れている
事が、考えられます。
(感染根管は根の先に膿の袋を作ります、これが炎症の原因になります)
1.神経の管の汚れの取り残し
まず、1.についてです。どちらの治療も、おおまかな治療方法は変わりません。細い針状の器具を使って、残った神経や感染してしまっている部分を除去していきます。ここで、歯の根の形がポイントになります。実は、歯の形というのは非常に個人差があり、イラストにもある下顎第一大臼歯と呼ばれる奥歯は、根っこが2本である事が多いのですが、人によっては3本だったりする事もあります。また、1本の根っこの中に神経の管が2本ある「2根3根管」タイプや、はたまた「2婚4根管」なんてタイプもあります。そして更に、根っこの中の管の形も、途中で変に曲がっていたり、先端だけ2~3本分岐していたり・・・非常に様々です。
(非常に稀ですが、「3根5根管」なんてケースもあります)
さて、治療の話に戻りましょう。何度も薬を入れて治療をしているのに、汚れが取りきれない原因には「根の数や形」が影響している事があります。良く見られるケースとしては、
・根が曲がっていたり分岐していて、器具が十分に届いていなく、汚れが取りきれていない。
・まだ発見されていなくて、未消毒の根の管がある。
この2つが多いです。この場合は、拡大鏡やマイクロスコープという顕微鏡を使って汚れを取り残している部分を発見してあげて、しっかりと治療をする事で痛みが改善される事が多いです。
また、稀に以前の治療の器具が折れて、管の中に詰まっているケースがあります。この場合は、詰まっている器具を除去してあげる事で改善しますが、状況によっては除去する事で逆に根を壊してしまう危険性が高いなど、難しいケースもあります。
2.治療中の歯に過度な負担がかかっている
神経の治療中の歯は、物理的な負担がかかる事によって痛みが出やすい状態になっています。叩くと違和感があったり、上下で噛みあうと痛みが出たりします。この場合は、噛み合わせを調整してあげる事で次第に痛みがなくなってきます。
3.消毒の薬の影響
神経の治療中は、根の管がからっぽになります。このまま空間を作ってしまうと、そこに菌が入ってしまって繁殖をしてしまうので、通常、消毒の薬をいれて仮の蓋をします。
この消毒薬の中には少々刺激の強いものもあり、相性が悪いとズーンと痛みとして出てきてしまう事があります。この場合は薬の種類を刺激の弱い物に変えて様子をみる事があります。
4.根が壊れている
これは少々厄介です。治療中の歯に、噛み合わせなどの負荷がかかって根っこが割れてしまったり、器具の誤った取り扱いによって、根の壁を壊してしまうケースがあります。この場合、補強をするなどしてリカバリーが可能なら、症状を治める事が出来るのですが、補修不能の場合は、根を部分的に除去するか、最悪、歯を抜くことになってしまいます。
ざっとですが、現在考えられる主な原因としては以上の4点があります。お話を伺うだけではちゃんとした診断が難しいので、例えばセカンドオピニオンとしてでも、一度状態を拝見させて頂ければと思います。そういった、難治性の症例は数多く診てきているので、新しい改善案を提供できればと思います。
当院でも、他院での治療で痛みがなかなか取れないケースへのセカンドオピニオン対応なども可能です、詳細に関しましては「当院のむし歯・根管治療」こちらをご参照ください。