銀歯は、シルバーアクセサリーを年中口の中に入れているようなもの
目次
- 1 銀歯は、シルバーアクセサリーを年中口の中に入れているようなもの
- 2 5年間、毎日使った3枚のお皿を想像してください
- 3 歯科材料の「寿命」を一言で説明するのが難しい理由
- 4 5年以上使われた銀歯の縁で、虫歯が見つかることは少なくありません
- 5 CAD/CAM冠・CAD/CAMインレーとは何ですか
- 6 保険のCAD/CAMを選ぶメリット
- 7 CAD/CAMは万能ではありません
- 8 セラミックが材料として有利な理由
- 9 銀歯・CAD/CAM・セラミックは、どれを選ぶべきですか
- 10 今入っている銀歯は、白く交換した方がよいですか
- 11 CAD/CAMについてよくある質問
- 12 青山通り歯科が、CAD/CAMを比較的よく提案する理由
- 13 まとめ
- 14 青山通り歯科
- 15 参考資料
この記事の結論
銀歯、保険のCAD/CAM、セラミックは、単純に「どれが何年持つか」だけでは比較できません。金属は割れにくい一方で、長期使用では歯との境目に段差や適合の変化が生じることがあります。CAD/CAMは金属を使わず白くできますが、摩耗や変色、表面の粗造化、脱離や破折が起こることがあります。セラミックは表面性状が安定しやすい一方、保険が適用されず、強い力で欠ける可能性があります。
自費のセラミックが常に選べるわけではないからこそ、適応する歯では「せめて保険のCAD/CAMを比較してみる」価値がある、というのが青山通り歯科の考えです。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。実際に銀歯を外すべきか、CAD/CAMやセラミックが適応できるかは、歯の状態、噛み合わせ、虫歯リスク、全身状態などを診査したうえで判断します。
さらに、2026年6月の診療報酬改定では、CAD/CAM冠・CAD/CAMインレーの要件が見直され、これまでより幅広いケースで保険の白い歯を検討しやすくなりました。 ざっくり言えば、昔より「銀歯しかないと思っていた場面」で、CAD/CAMという選択肢をテーブルに並べやすくなった、ということです。[2]
ただし、これは「どの歯でも無条件にCAD/CAMでいける」という意味ではありません。歯も場所・噛み合わせ・残っている歯の量によって向き不向きがあります。
具体的には、2026年6月改定で次のように整理されています。患者さん目線で言うと、「奥歯の白い保険治療を検討できる場面が増えた」というのが大きなポイントです。
| 項目 | 改定前 | 2026年6月改定後 |
|---|---|---|
| 大臼歯のCAD/CAM冠 | 奥歯では、噛み合わせの条件などを満たす場合に限られていました。 | 大臼歯でも、以前よりCAD/CAM冠を検討しやすい形に見直されました。 |
| 先天的に後継永久歯がない乳歯 | CAD/CAM冠の対象として明確には示されていませんでした。 | 条件を満たす場合、CAD/CAM冠の対象に追加されました。 |
| CAD/CAMインレー | 大臼歯では、CAD/CAM冠と同じように噛み合わせの条件が関係していました。 | CAD/CAM冠と同じ方向で、条件が見直されました。 |
ただし、表だけ見ると「もう銀歯の出番はないの?」と思うかもしれませんが、そこまで単純ではありません。CAD/CAMは選択肢として広がった一方で、厚み、接着、噛む力、歯ぎしり、残っている歯の量によって向き不向きがあります。メニューが増えたからといって、毎回同じ料理を頼むわけではないのと同じです。
銀歯は、シルバーアクセサリーを年中口の中に入れているようなもの
銀歯は、口の中に固定された小さな金属パーツです。しかも、引き出しにしまえるアクセサリーと違って、寝ている間も、食事中も、会話中も、ずっと唾液と噛む力にさらされています。
たとえば、シルバーの指輪を一年中つけっぱなしにしていたらどうでしょう。汗や水、石けん、細かな傷で、少しずつ表面の雰囲気は変わります。銀歯も同じ材質という意味ではありませんが、「ずっと使われ続ける人工物」という点ではかなり近いイメージです。
さらに口の中は、アクセサリーケースの中よりずっと過酷です。熱いコーヒー、冷たい水、酸味のある食事、歯ぎしり、食いしばり。いわば、歯は毎日のように耐久テストを受けているような環境です。だからこそ、銀歯を「入っているから大丈夫」と見るのではなく、数年後の境目や下の歯まで考える必要があります。
指輪なら夜には外せます。ネックレスなら洗ったり磨いたりできます。しかし銀歯は、自分では外せません。
熱い物、冷たい物、酸味のある食事、唾液、そして毎日の咬合力。その中で24時間使われ続けます。その意味で、銀歯は「シルバーアクセサリーを年中口の中に入れているようなもの」と表現できます。
もちろん、歯科用金属と一般的なシルバーアクセサリーは同じ材質ではなく、銀歯があるだけで健康被害が起こるという意味でもありません。ただし、銀歯もCAD/CAMもセラミックも「入れたら終わり」ではなく、材料ごとに経年的な変化があります。
大切なのは、色だけでなく、数年後にどのような変化を起こしやすいかまで理解して選ぶことです。
銀歯をすべて外すべき、という話ではありません
痛みがなく、適合や周囲の歯に問題がない銀歯を、急いで外す必要はありません。除去時には歯を追加で削る可能性があり、虫歯が深ければ神経への刺激も考えられます。
一方、新しく詰め物や被せ物を作る場合や、再治療が必要な場合に、「前も銀歯だったから」と自動的に決める必要はありません。条件が合えば、保険のCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーも比較できます。
5年間、毎日使った3枚のお皿を想像してください
金属、プラスチック、セラミックのお皿を毎日5年間使った場面を想像してください。家庭用食器と歯科材料が同じという意味ではありませんが、材料ごとに劣化の仕方が違うことは理解しやすくなります。

金属のお皿は、割れにくいが変形や傷が残る
金属のお皿は割れにくく、薄くても強度を出しやすい一方、力が繰り返しかかると縁の変形や細かな傷が残ります。
銀歯も突然割れにくい材料ですが、長期使用では歯との境目に段差が生じることがあります。ただし、その原因は金属そのものの変形だけではありません。周囲の天然歯の摩耗、セメントの劣化、噛み合わせ、歯ぎしり、虫歯などが重なります。
割れずに残っていることと、問題なく機能していることは同じではありません。
プラスチックのお皿は、軽くて割れにくいが摩耗する
プラスチックのお皿は割れにくい一方、毎日使えば細かな傷が増え、光沢が失われ、摩耗や着色が進みます。
保険のCAD/CAM材料は食器用プラスチックではなく、無機質フィラーを多く含み、均質に製造された歯科用レジンブロックです。[1] ただしレジン成分を含むため、セラミックより摩耗、吸水、着色、光沢低下、表面性状の変化が起こりやすい傾向があります。
表面が粗くなると、プラークや着色が残りやすくなる可能性があります。
スマホケースも、買った直後はツルッとしていても、毎日ポケットやバッグに入れているうちに細かな傷が増え、汚れが引っかかりやすくなります。CAD/CAMもそれと同じで、最初の白さだけでなく、使い続けたときの表面変化まで見ておきたい材料です。
セラミックのお皿は、表面が安定しているが割れることがある
セラミックのお皿は、レジン系材料より摩耗、吸水、着色が少なく、表面の光沢を保ちやすい材料です。歯科用セラミックも、適切に研磨されていれば滑らかな表面を維持しやすく、汚れを落としやすい環境を作れます。
一方、どれだけ丈夫なセラミックを使ったとは言え、強い力が一点に集中すると欠けたり割れたりします。また、咬合調整後の研磨が不十分なら、セラミックでも表面は粗くなります。
金属は変形や境目の変化、CAD/CAMは摩耗や表面変化、セラミックは破折。材料ごとに傷み方の土俵が違います。
鍋やフライパンも、素材によって傷み方が違います。鉄は重くて丈夫、フッ素加工は使いやすいけれど表面が傷む、陶器はきれいだけれど落とせば割れる。歯の材料選びも、単純な勝ち負けではなく「何が得意で、どこに弱点があるか」を見る話です。
歯科材料の「寿命」を一言で説明するのが難しい理由
「銀歯は何年持ちますか」「CAD/CAMの寿命は何年ですか」「セラミックなら一生持ちますか」
診療室では、よく聞かれる質問です。しかし、歯科材料の寿命を一つの数字で答えるのは簡単ではありません。
口の中に残っていることと、良好に機能していることは違う
銀歯が10年間外れなくても、境目の下で虫歯が進んでいれば「10年間問題なく持った」とは言いにくいでしょう。反対に、CAD/CAMが外れても、歯が割れず再治療できる場合があります。
見るべきなのは年数だけではありません。虫歯の再発、清掃性、噛み合わせ、周囲組織への影響、再治療のしやすさ、残せた天然歯の量まで含めて判断します。
金属は変形や境目の変化、CAD/CAMは摩耗、セラミックは破折が問題になりやすい
実際には、どの材料にも複数のトラブルがありますが、分かりやすく整理すると次のようになります。
| 材料 | 起こりやすい経年的変化 | 長所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 銀歯・金属 | 境目の段差、適合の変化、セメントの劣化、腐食や表面変化、アレルギー | 薄くても強度を得やすく、割れにくい | 金属の下はX線で確認しにくい部分があり、見た目も目立つ |
| 保険のCAD/CAM | 摩耗、表面の粗造化、着色、光沢低下、脱離、破折 | 白く、金属を使わず、保険適用できる場合がある | セラミックより表面性状が変化しやすく、十分な厚みと接着が必要 |
| セラミック・ジルコニア | 欠け、破折、接着の問題 | 変形や吸水が無く、最も表面が安定しやすい | 原則として自費診療で、力の条件によっては割れる |
「どれが一番長持ちするか」だけではなく、「どのように壊れやすいか」「壊れたときに歯へどのような影響があるか」を考える必要があります。

5年以上使われた銀歯の縁で、虫歯が見つかることは少なくありません
青山通り歯科では、古い銀歯を外したとき、その縁や内部に虫歯が見つかる症例を日常的に経験します。とくに5年以上使用され、銀歯と歯の境目に段差や着色がある場合には、慎重な診査が必要です。
ただし、「銀歯は5年で必ず問題が出る」と断定することはできません。10年以上問題なく使われる銀歯もありますし、数年で虫歯になる修復物もあります。
銀歯の下に虫歯ができる原因は一つではありません
銀歯の下や周囲にできる虫歯は、二次う蝕、二次カリエスなどと呼ばれます。
原因は、境目の段差、セメントの劣化、周囲歯質の摩耗、歯ぎしり、清掃しにくい形態、糖分摂取、唾液量などです。
これは銀歯だけの問題ではありません。CAD/CAMやセラミックでも、境目にプラークが残り、接着が劣化すれば虫歯は起こります。
重要なのは、「白い材料なら虫歯にならない」「金属なら必ず虫歯になる」という単純な話ではないということです。
銀歯はX線を強く遮るため、真下を確認しにくいことがある
金属はX線をほとんど通さないため、レントゲン写真では白く写ります。そのため、銀歯の真下にある歯質の一部は金属に隠れ、虫歯の有無を画像だけで完全に確認できない場合があります。
一方、CAD/CAM材料は製品によってX線の通し方が異なります。金属より診査の手掛かりを得やすい場合がありますが、「CAD/CAMなら下の虫歯が必ず見える」という意味ではありません。材料のX線不透過性、厚み、撮影方向、虫歯の位置などによって見え方は変わります。[5]
CAD/CAMは白いので、境目の着色、透け方、表面の変化を視診で確認しやすい場面もあります。金属より異常に気づきやすい場合がある、というのが適切な表現です。
CAD/CAM冠・CAD/CAMインレーとは何ですか
CAD/CAMとは、Computer-Aided Design/Computer-Aided Manufacturingの略です。コンピューターで歯の形を設計し、専用の加工機でブロックを削り出して詰め物や被せ物を作ります。
CAD/CAM冠は歯全体を覆う白い被せ物です
CAD/CAM冠は、虫歯や破折などで大きく失われた歯を全体的に覆う被せ物です。
保険診療では、規格化された歯科用レジンブロックを使用します。日本補綴歯科学会の指針では、材料の種類、フィラー量、曲げ強さ、吸水量などに基準が設けられています。[1]
適用範囲は前歯から大臼歯まで広がっていますが、歯の位置、噛み合わせ、残存歯質、材料区分によって判断が異なります。
CAD/CAMインレーは歯の一部を補う白い詰め物です
CAD/CAMインレーは、歯の一部分を削った後に装着する白い詰め物です。銀色のメタルインレーに代わる保険の選択肢として使用されます。
ただし、残っている歯が薄い、虫歯の範囲が大きい、強い咬合力が集中するなどの条件では、インレーではなく別の形態を検討することがあります。
保険のCAD/CAMは「セラミック」ではありません
患者さんから「保険のセラミックですよね」と聞かれることがありますが、一般的な保険のCAD/CAM冠・インレーは、セラミックそのものではありません。
代表的な材料は、レジンという樹脂に無機質フィラーを高密度に混ぜ、工場で均質に製造したコンポジットレジンブロックです。直接口の中で詰めるコンポジットレジンよりも、材料内部の気泡や重合のばらつきが少なく、一定の物性を得やすいことが特徴です。
また、大臼歯用にはPEEKを用いたCAD/CAM冠も保険導入されています。PEEK冠は従来のコンポジットレジン系CAD/CAM冠とは性質、色調、適応、接着方法が異なります。「CAD/CAM」という言葉だけで、すべてが同じ材料だと考えないことが重要です。[1]
保険のCAD/CAMを選ぶメリット
青山通り歯科では、適応する症例ではCAD/CAMを比較的積極的に提案しています。その理由は、保険診療の範囲で金属を使わない選択肢を提供できるからです。
銀歯より目立ちにくい
CAD/CAMは歯に近い白色です。自費のセラミックほど細かな透明感や色調を再現できない場合がありますが、銀歯のように口を開けた瞬間に強く反射することはありません。
「銀歯を白くしたい」「笑ったときに奥歯の銀色が見えるのが気になる」という方にとって、費用を抑えながら見た目を改善できる現実的な方法です。
実際に「銀歯を白くしたい」「保険で白い歯にできるか」と検索して調べる方は少なくありません。見た目の悩みから調べ始めても、最終的には材料の違い、虫歯の再発リスク、費用、耐久性まで含めて比較することが大切です。
金属を使用しない
一般的なコンポジットレジン系CAD/CAMでは金属を使用しません。歯科用金属によるアレルギーが疑われる方にとって、非金属材料を検討できることは利点です。
ただし、皮膚症状などがある場合に、自己判断ですべての銀歯を外すことは勧められません。皮膚科などで原因金属を確認し、必要に応じて医科と歯科が連携して判断します。
規格化されたブロックから削り出す
CAD/CAMは工場で製造されたブロックから削り出すため、材料内部のばらつきを抑えやすいことが利点です。
ただし、機械で削れば自動的に良い歯ができるわけではありません。形成、スキャン、設計、材料、技工、内面処理、接着、咬合調整、研磨のすべてが結果に影響します。[1]
銀歯より経過を確認しやすい場合がある
CAD/CAMは金属のように完全にX線を遮断する材料ではないため、材料によってはレントゲン診査の手掛かりを得やすい場合があります。また、白い材料なので、境目の着色や表面の摩耗を視診で確認しやすいことがあります。
ただし、CAD/CAMの下の虫歯を必ず早期発見できるわけではありません。定期検診、視診、触診、レントゲン、症状などを組み合わせて判断します。
CAD/CAMは万能ではありません
ここは、CAD/CAMを検討する方に必ず知っていただきたい部分です。
CAD/CAMは「保険で白くできる便利な材料」ですが、「銀歯とセラミックの長所だけを集めた万能材料」ではありません。
表面が摩耗し、細かな傷が増えることがある
レジン成分を含むCAD/CAM材料は、セラミックより柔らかく、噛み合わせや歯磨きによって表面が摩耗することがあります。
人工的に経年変化を与えた研究では、CAD/CAM用コンポジット材料の色、光沢、表面粗さが変化したと報告されています。[4] 研究室内の試験結果を、そのまま口の中の年数へ置き換えることはできませんが、材料が経年的に変化し得ることは理解しておく必要があります。
劣化すると汚れや着色が付きやすくなる可能性がある
最初のCAD/CAM表面は滑らかに研磨されています。しかし、長期間の使用でレジン部分が摩耗し、フィラーとの境界が表面に現れたり、細かな傷が増えたりすると、光沢が失われることがあります。
表面が粗くなれば、コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、喫煙などによる着色が残りやすくなります。プラークも滑沢な面より粗い面に停滞しやすいため、清掃状態によっては歯ぐきの炎症や境目の虫歯のリスクに影響します。
ただし、「CAD/CAMは数年で必ず汚くなる」という意味ではありません。材料の種類、研磨状態、噛み合わせ、食生活、歯磨き、定期的なクリーニングによって経過は大きく異なります。
すり減ることで噛み合わせが変化する場合がある
CAD/CAMは金属や一部のセラミックと比べて摩耗しやすい材料です。摩耗量が大きくなれば、噛み合わせの接触位置が変化する可能性があります。
とくに歯ぎしりや食いしばりが強い方、特定の歯だけに力が集中している方では、装着前に慎重な診断が必要です。
外れたり、欠けたり、割れたりすることがある
CAD/CAMの代表的なトラブルには、脱離と破折があります。
接着面積が少ない、歯の高さが低い、十分な材料の厚みを確保できない、唾液の影響を受けた状態で接着した、内面処理が適切でない、強い力がかかるといった条件が重なると、外れたり割れたりする可能性が高くなります。
日本補綴歯科学会の指針でも、十分なクリアランスを確保できない症例、歯冠高径が低い症例、顕著なブラキシズムがある症例などは、CAD/CAM冠を推奨しにくい症例として示されています。[1]
金属より歯を多く削る場合がある
金属は薄くしても強度を出しやすい材料です。一方、コンポジットレジン系CAD/CAM冠では、割れないための厚みが必要です。
日本補綴歯科学会の指針では、一般的なCAD/CAM冠の咬合面に1.5~2.0mm以上のクリアランスを確保する形成が示されています。[1]
そのため、残っている歯の量や形によっては、金属冠より削除量が増える場合があります。「白いから歯に優しい」とは限りません。
CAD/CAMでも虫歯になります
CAD/CAM材料そのものが虫歯になるわけではありません。しかし、その周囲に残っている天然歯は虫歯になります。
表面が粗くなってプラークが停滞する、境目に段差ができる、接着が劣化する、清掃が不十分になるといった条件が重なれば、CAD/CAMの周囲や内部にも二次虫歯が起こります。
白い材料を選んだ後も、定期検診とセルフケアは必要です。
セラミックが材料として有利な理由
材料の長期的な安定性を優先するなら、セラミックが有力な症例は多くあります。
変形と摩耗が少なく、表面性状を維持しやすい
セラミックはレジン系材料より吸水や摩耗が少なく、滑らかさと光沢を維持しやすい材料です。汚れを落としやすい環境を作れますが、境目の精度、接着、歯磨き、食生活によっては虫歯になります。
見た目を細かく調整しやすい
色、透明感、光の反射を調整しやすく、天然歯となじませやすいことも利点です。保険のCAD/CAMは、色調や透明感の選択に限界があります。
保険が適用されない
セラミックは原則として自費診療です。すべての患者さんが費用面で選べるわけではないからこそ、保険のCAD/CAMという中間の選択肢に意味があります。
青山通り歯科の自費補綴の費用は、ジルコニアインレー66,000円、ジルコニアクラウン臼歯110,000円、ジルコニアクラウン前歯132,000円からです。詳しくは当院の料金一覧をご確認ください。 <br>自費のセラミック・ジルコニア治療にも、欠け、破折、脱離、噛み合わせの違和感、再治療が必要になる可能性があります。
銀歯・CAD/CAM・セラミックは、どれを選ぶべきですか
結論は、「すべての歯に同じ材料を選ぶべきではない」です。
セラミックが向いている可能性が高い人
- 表面の安定性や清掃性を重視したい
- 着色や変色をできるだけ抑えたい
- 前歯など見た目を細かく合わせたい
- 保険外の費用を許容できる
- 適切な厚みを確保できる
- 噛み合わせの診査を受け、材料を選びたい
CAD/CAMが現実的な選択になりやすい人
- 保険診療の範囲で白い歯を希望する
- 金属を使用しない治療を検討したい
- 銀歯の見た目が気になる
- 自費セラミックの費用が難しい
- CAD/CAMに必要な厚みと保持形態を確保できる
- 強い歯ぎしりなどの明確なリスクが少ない
金属が合理的な場合もある人
- 材料の厚みを十分に確保できない
- 歯の高さが低い
- 非常に強い咬合力がかかる
- 歯ぎしりや食いしばりが顕著
- 破折を避けることを優先する
- 見た目よりも、限られた条件での強度を優先する
金属を一律に古い材料として否定するのも、CAD/CAMを一律に優れた材料として勧めるのも適切ではありません。
今入っている銀歯は、白く交換した方がよいですか
問題のない銀歯を、予防目的だけで一斉に外す必要はありません。
まずは、銀歯の境目、レントゲン、噛み合わせ、痛み、冷たい物への反応、歯ぐきの状態などを確認します。
交換を検討することがある状態
境目の段差や虫歯が疑われる、銀歯が浮く・外れる、噛むと痛い、しみる、歯や銀歯が欠けている、医科で金属アレルギーと診断された、見た目が強いストレスになっている場合などです。
反対に、適合が良く、虫歯もなく清掃できている銀歯は、そのまま経過をみることがあります。
「白くできるか」だけでなく、「今、外す利益が、外すリスクを上回るか」を判断することが重要です。
CAD/CAMについてよくある質問
CAD/CAMは何年くらい持ちますか
一律に「何年」とは言えません。材料、歯の位置、残存歯質、接着、噛み合わせ、歯ぎしり、清掃状態で変わります。年数だけでなく、摩耗、脱離、破折、境目の虫歯を定期的に確認します。[1]
CAD/CAMはセラミックですか
一般的な保険のCAD/CAM冠・インレーは、セラミックそのものではありません。レジンに無機質フィラーを多く含ませた歯科用コンポジットレジンブロックが中心です。
白い見た目ですが、自費のオールセラミックやジルコニアとは、吸水、摩耗、表面性状、色調、強度などが異なります。
CAD/CAMは銀歯より虫歯になりにくいですか
CAD/CAMが銀歯より必ず虫歯になりにくいとは言えません。
CAD/CAMは金属より診査の手掛かりを得やすい場合がありますが、経年的に表面が粗くなったり、接着が劣化したりすれば虫歯は起こります。材料だけでなく、境目の精度、接着、噛み合わせ、清掃状態が重要です。
CAD/CAMは汚れが付きやすいですか
装着直後は滑らかでも、摩耗や細かな傷、光沢低下が進むと、着色やプラークが残りやすくなる可能性があります。定期的な確認とクリーニングが必要です。
CAD/CAMは歯ぎしりがあっても使えますか
軽度であれば使用できる場合もありますが、顕著な歯ぎしりや食いしばりがある症例は慎重に判断します。
強い力が集中すると、CAD/CAMの摩耗、脱離、破折が起こりやすくなります。治療後にナイトガードを提案する場合もあります。
奥歯も保険で白くできますか
条件が合えば、奥歯にも保険のCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーを使用できる場合があります。
ただし、歯の位置、噛み合わせ、残っている歯、使用材料、歯の形態などによって適応が異なります。2026年6月の診療報酬改定では、CAD/CAM冠・CAD/CAMインレーについて、奥歯で検討しやすくなる方向の見直しが行われています。[2]
なお、保険適用の条件や算定要件は改定で変わります。実際に保険で使えるかどうかは、受診時点の制度とお口の状態を確認して判断します。
「奥歯ならすべて同じ白い材料を無条件で使える」という意味ではないため、診査が必要です。
銀歯を白くするのにホワイトニングは使えますか
使えません。ホワイトニングで白くなるのは天然歯です。
銀歯そのものの色は変わらないため、白くするには銀歯を外し、コンポジットレジン、CAD/CAM、セラミックなど別の材料へ交換する必要があります。
青山通り歯科が、CAD/CAMを比較的よく提案する理由
赤坂見附の青山通り歯科では、デジタル治療を5年以上前から導入し、デジタル補綴に対応した歯科技工所と連携してきました。
2026年7月時点で、当院のCAD/CAM治療は院内集計で700症例を超えています。
この数字は、CAD/CAMがどの症例にも向いているという意味でも、治療効果を保証するものでもありません。むしろ症例を重ねるほど、CAD/CAMがうまく機能しやすい条件と、脱離・摩耗・破折などのリスクが高い条件の両方が見えてきます。
CAD/CAMは、材料だけで結果が決まる治療ではありません
CAD/CAM治療では、必要な厚みを考えた形成、正確なスキャン、材料選択、技工所との設計共有、内面処理、防湿、接着性レジンセメント、咬合調整、研磨、定期的な経過観察が重要です。
青山通り歯科がCAD/CAMを提案するのは、「白くて保険が使えるから」だけではありません。弱点を理解し、適応を選び、デジタル補綴に対応した技工所と連携できる体制があるためです。
「ベストではないが、せめてCAD/CAM」と言える場面があります
材料の安定性や表面性状だけを比較すれば、自費のセラミックが有利な症例は少なくありません。
しかし、すべての患者さんが自費治療を選べるわけではありません。また、治療する歯の本数が多ければ、費用の差はさらに大きくなります。
そこで保険診療を希望する方に対して、青山通り歯科では、適応する歯であれば銀歯だけでなくCAD/CAMも比較していただいています。
CAD/CAMはベストな材料とは限りません。経年的に摩耗し、表面が粗くなり、汚れや着色が付きやすくなる可能性があります。外れたり、割れたりすることもあります。
それでも、保険診療の範囲で金属を使わず、白い歯を選べることには大きな意味があります。
銀歯、CAD/CAM、セラミックの長所と短所を説明したうえで、それでも「せめてCAD/CAMを検討してみる」という選び方は、十分に合理的だと考えています。
まとめ
銀歯は、シルバーアクセサリーを年中口の中に入れているようなものです。ただし、銀歯を悪い材料と決めつけることはできません。金属には薄くても強く、割れにくい利点があります。
保険のCAD/CAMは、金属を使わず白くできる現実的な選択肢ですが、セラミックではありません。摩耗、着色、表面の粗造化、脱離、破折のリスクがあります。セラミックは表面を維持しやすい一方、保険が適用されません。
大切なのは、材料を善悪で分けないことです。
- 今ある銀歯を残す
- 金属で作り直す
- 保険のCAD/CAMを選ぶ
- 自費のセラミックを選ぶ
どれも、歯の状態と患者さんの希望によっては正しい選択になります。
青山通り歯科では、2026年7月時点で700症例を超えるCAD/CAM治療を行ってきました。CAD/CAMの良い面だけでなく、劣化や破折、脱離などの弱点も説明したうえで、適応する症例には比較的積極的に提案しています。
銀歯を白くしたい方、保険で白い歯にできるか知りたい方、CAD/CAMとセラミックのどちらを選ぶべきか迷っている方は、赤坂見附の青山通り歯科へご相談ください。
「白くできるか」だけでなく、今の銀歯を外す必要があるのか、その歯にどの材料が向いているのか、数年後にどのような変化が起こり得るのかまで説明します。
青山通り歯科
医院情報
- 医院名:青山通り歯科
- 院長:矢島昇悟
- 住所:〒107-0052 東京都港区赤坂4丁目9-25 新東洋赤坂ビル地下1階
- 電話:03-3423-1516
- 最寄り:赤坂見附駅
- ホームページ:https://aoyamadori.jp/
- 特徴:デジタル治療を5年以上前から導入。デジタル補綴に対応した歯科技工所と連携。2026年7月時点でCAD/CAM治療700症例超(院内集計)。
参考資料
医療・材料に関する資料
1. 日本補綴歯科学会「保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2024」 <br> https://www.hotetsu.com/files/files_1069.pdf<br>2. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」 <br> https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf<br>3. 日本歯科医師会「さし歯・冠・ブリッジ」 <br> https://www.jda.or.jp/park/trouble/index18.html<br>4. Papathanasiou I, et al. Effect of aging on color, gloss and surface roughness of CAD/CAM composite materials. <br> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36642325/<br>5. Elhelbawy NG, et al. A Comparative Evaluation of the Radiopacity of Contemporary CAD/CAM Restorative Materials. <br> https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8885173/<br>6. Miura S, et al. Current status and perspective of CAD/CAM-produced resin composite crowns: a review of clinical effectiveness. <br> https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1882761620300193<br>7. 厚生労働省「歯科医療提供体制等に関する検討会資料」:令和5年の小臼歯歯冠修復に占めるCAD/CAM冠は約49% <br> https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001364286.pdf<br>8. 青山通り歯科「料金一覧」 <br> https://aoyamadori.jp/price/
