~自粛と医療現場の実際~ 新型コロナウイルス感染対策について正しい知識を! その5
こんばんは、赤坂の青山通り歯科。院長の矢島です。
皆さん、GWはいかがお過ごしですか。
自分はひたすら自宅で過ごしています。友人と連絡をとる時も、互いに「何してる?」「どう過ごしてる?」そんな会話が自然と多くなります。退屈している境遇なのは皆同じですね。
目次
・テレワークの普及で
・自粛ムードの裏側で
・ババ抜きしよう
・医療現場のリアル
・歯科の現場でも
過去記事一覧
1. ~コロナウイルスの基本情報~
2. ~接触感染と手洗いについて~
3. ~医療機関としての取り組み~
4. ~正しい情報の見つけ方とデマ対策~
5. ~自粛と医療現場の実際~
まず、参考にこんなの貼っときますね。凄くわかりやすいので。
(富山県会議員 沢崎ゆたかWeb より引用)
さて、
また、「リモートドクター」と言われるチャットで診療を受け付ける医療機関も出てきています。
オンライン診療に関するホームページ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html
これは、主に医科で始められているもので、緊急時の薬の処方など、限られた内容にはなりますが、この外出自粛の環境下でも様々な対応ができる社会が作られつつあります。
一部ではありますが、歯科でもオンライン診療を行っている医院があるんですよ。
もちろん、内容は「歯の痛みの相談」や「ホワイトニングの相談」など、非常に限られた内容にはなりますが…
例えば一家に一台こういうのがあれば、歯科医が遠隔操作して虫歯の治療を家に居ながら…とか、凄く未来っぽいですよね!いつか、そういう時代は必ず来ると思っています。
(ドラえもん「STAY HOME」プロジェクトより引用)
僕の中では、のぶ代さんの声で再生されます。泣きそうです。
また、Amazonなどの通販サイト、Uber Eatsをはじめとするフード宅配サービスの普及によって、自宅に居ながら仕事をはじめとするほぼ普通の生活が出来てしまう体制が出来つつあります。
(最近、増えましたよね。こんなバッグ背負って自転車漕いでる人。)
そんな中、どう頑張ってもテレワークのやりようが無い仕事もあります。
例えば、建設現場をはじめとする「その場所に行かないと出来ない仕事」や、人を受け入れる「観光地」。先程あげたUberやAmazonなどの「物を届ける仕事」。鉄道やタクシー、電気・水道などの「インフラ関係」。
そして、医者・歯医者を始めとする「医療現場」です。
https://www.instagram.com/p/B_hNEMjDXIl/?utm_source=ig_web_copy_link
これは、Instagramから抜粋させて頂きました。なんというか、ここであんまり説教臭い事を言っても仕方ないような気もするのですが…やっぱり、実際にこうやって開放されてしまう人が居るというのは、医療従事者として思うところがあります。
「飛行機が飛んでる以上、違法じゃない」 GWの那覇空港、釣りざお持った観光客も
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/567451
「絶対に外に出ちゃいけない」とは言いません。自分だって仕事以外で外出する事はあります。ロボットじゃないので、ときには気分転換も必要です。注意したいのは「人が集まる事」と「人が大きく移動する事」です。
世界中の人達がランダムに5枚ずつのカードを持っているとします。運悪くJOKERを配られてしまった人は新型コロナウイルスの感染者です。
このババ抜きはちょっと特殊なルールで、もしもJOKERを引いて感染してしまうと、引いたJOKERはモコモコと3枚に増えてします。つまり、これから自分は3人の人に感染させてしまう可能性を手に入れます。
逆に、運良く手元のカードが全部無くなったら晴れてあなたはコロナから開放されます。おめでとうございます。「コロナに対する免疫を獲得した」という事にでもしましょう。
当然、自分のカードを他人に一切教えてはいけません。ゲームですから。
…さて、それではゲームを始めます。
あなたは、近づいた人や触れた人と必ずカードを1枚交換しなくてはなりません。
コンビニで飲み物を買いました。店員さんとカードを交換します。
宅急便が届きました。配達員の方とカードを交換します。
電車に乗りました。ホームや車内で何人かの人とカードを交換します。
…
飲み会に誘われました。ん~…まぁ、自粛中で他のお客さんも少ないみたいだし、参加しましょう。
久しぶりに会った友人達とカードを交換します。まぁ大丈夫でしょう!良く知ってる人達だし。ついでに店員さんとも交換します。もちろん、誰がなんのカードを持っているのか分かりません。ゲームですから。
トイレに立った際に、たまたますれ違った他のお客さんとも交換します。
…
さて、あなたは1日の中で何回カードを交換したでしょうか?
今現在、世界中に合計何枚のJOKERがあるか想像できますか?
そのうちの何枚が日本にあると思いますか?
一緒に居た友人達がJOKERを持ってなかった保証はありますか?
家に帰っても家族がJOKERを持っていないと思いますか?
今、自分の手元にJOKERが無い自信はありますか?
飲み会が終わって店を出ました。渋谷のスクランブル交差点は赤信号。
信号が青になったら、あなたは大勢の人達が待っている向こう側へ渡らないといけません…。
不特定多数の人が居る場に行く、という事は、このような危険を孕んでいるという事になります。
感染は確率論とも言えます。いくらあなたが「三密」に気をつけていようと、その機会を増やせば増やすほど、様々な経路から感染する恐れが出てきます。三密を過信しないで下さい。(あくまで、コロナウイルスの感染経路は接触感染です。「屋外でBBQなら三密じゃないから大丈夫」だなんて思わないで下さい!)
逆を言えば、飲食店や観光地の人々は、「なんのカードを持っているか分からない多くの人」を受け入れなくてはいけない立場にあります。他所から来る人、1人1人に疑いの目をかけながら…
医療現場の人間としても、これが怖くないと言ったら嘘ですよ、実際。
今、東京都や大阪府など圧倒的にJOKERが多い地域から沖縄などの少ない地域へ、カードを持った人々が移動しています。受け入れる都道府県はヒヤヒヤものだと思います。
(2020年5月3日現在)
特に、医療現場は頭を抱えています。地方の医療体制には都心ほどの余力がないので、他県から多くの感染源が持ち込まれる事によって、感染者が一気に増えることを危惧しています。
医療現場の最前線にGWはありません。
・医療現場のリアル
こちらの写真は、実際に二次医療機関(入院治療を必要とする重症患者の医療を担当する医療機関。地域の中核的病院・専門性のある外来や一般的な入院医療を行う病院。)で勤務されている先生から許可を得て写真を頂きました。
これは「ゾーニング」と言って、清潔な場所と不潔な場所を「ここは入ってもいいよ」「ここは触っちゃダメだよ」と、明確に分けて、菌やウイルスを特定の場所から外に出さないようにする方法です。
こちらの病院ではゾーンを色別に4種に分けています。レッドゾーンはコロナウイルスのゾーンですね。このゾーン分けを一回でもおろそかにしたら、目に見えないウイルス達はこのゾーンを飛び出し、不特定多数の人達に感染する機会を与えてしまいます。もちろん、それは医療スタッフ自身も含まれます。
レッドゾーンで勤務するスタッフの方々は、今、非常に高価で手に入りづらいN95規格のマスクや、貴重なグローブの2重使用をしています。これは「こうしないと自分の身が守れないから!」なんです。最前線って、そのくらい危険なんです。
仮に、レッドゾーンで使ったマスクやグローブをグリーンゾーンに「ポイっ」なんてした日には…本当に大変な事になります。本気で怒鳴られる程度じゃ済まないかもしれないです。そのくらい、こういった医療現場は感染対策にシビアです。本当です。
・歯科の現場でも
下は、神奈川の歯科医院の実際の診療の様子です。普通の虫歯の治療中です。
「はは、歯医者でこれはやり過ぎだよ…」と、感じる人もいるかもしれません。いえ、居ると思いますよ。
自分自身もコロナが流行するまでは、こんな風になるなんて思ってもいませんでしたから。
でも、現在では歯科医院もここまでの対策を求められています。
グローブやキャップ、清潔なガウンは非常に手に入りづらく。ここまでの準備が可能な医院は殆どありません。
(医療ドラマの手術シーンなどで見かけるこの両手を上げたポーズは、常に手を視界に入れておいて、清潔なグローブがどこかに触れて菌がついてしまうのを防ぐためにやっています。「なんかそれっぽいから」じゃないです。)
先程の二次医療機関の先生は、「手術室では、帽子など普段は使い捨てのはずのものでも、滅菌をして一週間ほど使い回す事があります」「グローブやマスクなどは使い回す事が出来ないので、再利用出来ず。その分、病棟や外来に負担がいっています」と仰っていました。
以前もお伝えした、N95マスクの高騰・不足がわかりやすい例でしょうか。
(平常時の数倍の値段になっています)
現場の最前線の人達は、「これがないと自分の身が守れない=感染してしまう」という危険に晒されています。
怖くて病院を辞めていくスタッフ、自分の家族が風評被害に晒されて苦しむ看護師。これが最前線のリアルです。
「一般的な歯科医院であれば、一歩外に出れば市街地、さらには先生方やスタッフ、患者さんの家庭に繋がっています。こういった環境において外に感染を拡げないという意識は非常に重要です。」
と、先程の先生は仰っていました。
僕ら歯科医療スタッフも、この気持を胸に診療をしています。
今回は、ちょっと説教臭くなってしまいましたね。
合言葉は「正しく知る、正しく恐れる」です。それでは
青山通り歯科 矢島
記事一覧
1. ~コロナウイルスの基本情報~
2. ~接触感染と手洗いについて~
3. ~医療機関としての取り組み~
4. ~正しい情報の見つけ方とデマ対策~
5. ~自粛と医療現場の実際~