新型コロナウイルス感染対策について正しい知識を!
(2021.1:内容を一部更新)
こんにちは。赤坂の青山通り歯科、院長の矢島です。
今年は暖冬で例年よりも暖かい日が続きますが、皆さん体調を崩されたりしていないでしょうか。年明け頃から、隣国のコロナウイルスの猛威が毎日のようにニュースで取り沙汰されていますね。
僕ら医療従事者は、テレワーク・時差出勤などと言った「感染リスク低減のために働き方を変える」という事が難しい上に、感染のリスク・可能性と日々向き合わなければならない職業になります。
だからこそ、これまで以上に「正しい情報」を集め、「自分が感染する可能性」と真摯に向き合い、「感染を防ぐための最大限の努力」を怠ってはならないと常に感じながら、スタッフ一同、徹底した消毒体制で今日も診療にあたっています。
目次
・重大な社会現象に…
・マスクはウイルス予防に不十分?!
・じゃあなんでマスクをするのさ?!
・「N95」のマスクってなに?
・ウイルスってどのくらい「そこ」にいるの?
・ウイルスが体に入る、意外な経路
・マスクよりも感染予防に大切な事
記事一覧
1. ~コロナウイルスの基本情報~ (当記事)
2. ~接触感染と手洗いについて~
3. ~医療機関としての取り組み~
4. ~正しい情報の見つけ方とデマ対策~
5. ~自粛と医療現場の実際~
新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(13例目)
厚生労働省HPより
現在、日本国内でも発症例が確認されるようになってきて、街のドラッグストアからマスクが消えるという、社会現象にまで発展しています。(当院でもカツカツです…。)
本来、コロナウイルスは潜伏期間が長くて二週間と、発症まで時間がかかるウイルスの為、潜在的には感染者の数はもっと多いのではないか、とも推測されています。
どうしても満員電車や人込みが避けられない生活をしている以上、自分にも影響が及ばないように気を付けたいですね。今からでもドラッグストアに駆け込んで、売り切れる前のマスクを必死で探して…
え…
ちょっとまって!
生兵法は大怪我のもと!「マスクをしていればウイルス対策は完璧!」という安易な考えは少々危険です。コロナウイルスの感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫が直接体に入る事によってうつる「飛沫感染」と
(首相官邸HPより抜粋)
感染者がクシャミをするなどで手についたウイルスが、ドアノブなどを介して他者に触れる事によって体に入る「接触感染」の、二通りです。
(首相官邸HPより抜粋)
様々な見解はありますが。一般的に市販されている不織布のマスクは、こういったウイルス感染の予防には不十分とされています。
勿論、感染予防に効果が無いわけではないです。ただ、不十分なんです。
それは何故かって?
マスクはあくまで布で出来ているので、目に見えないような細かい縫い目の隙間があります。それに対してウイルスは非常~~~~~~~~~に小さいので…
↓ 以下を見ていただくとわかると思うのですが
・通常の不織布マスクの隙間 5 μm (0.000 005 mm)
・インフルエンザウイルス 0.1 μm (0.000 000 1 mm)
・コロナウイルス 0.02μm 又は 20 nm (0.000 000 02 mm)
ウイルスの大きさよりもマスクの隙間は50倍くらい大きいんです。
PM2.5だって防げません。
(MASKSTAR.netより抜粋)
これは、インフルエンザウイルスが人間の大きさだとしたら、サッカーコート半面~1面分くらい動ける余裕がある事になります。(長辺が90-120m)
以下の図にある白線が全て不織布の繊維だとしたら、目をつぶって適当にふらふら歩いても白線を踏む気がしませんよね。
もしそれがコロナウイルスだとしたら、その更に5倍の余裕がある事になります。東京ドーム4個分くらいの動ける余裕があります。
(N95クラスのマスクやPM2.5対応のマスクであれば、もう少し網目は細かくなります)
そのうえ、よくある市販のマスクでは鼻や頬まわりにも隙間があるので、フィットのさせ方が悪いと、半分近くの空気がその隙間から出入りしてしまう事にもなり兼ねません。
(鼻の周囲をワイヤーでフィットさせましょう)
とは言え、ウイルスも空気中をまっすぐに飛んでくるわけではありません。
「ブラウン運動」といって、ウイルスは空気中を下の図のように適当かつ縦横無尽に動いています。
なので、網目が粗いから皆が皆「スッ」っとマスクの繊維をすり抜けてくるわけではありません。
(ミヤマ株式会社HPより抜粋)
それは、主に「感染者が他人に菌・ウイルスを移さないため」です。
先程説明したように、ウイルスは不織布の隙間を通ってしまいますが、くしゃみや咳などで口から飛んだウイルス混じりの飛沫はマスクで抑える事が出来ます。つまり、ウイルスが他の人に向かって飛んでいって「飛沫感染」を起こしたり、手や物について「接触感染」を起こす事を防ぐ事になるんです。
実際、アジアをのぞいて海外では風邪の予防などの為にマスクをする習慣はほとんどありません。逆に、マスクをしていると「なにか病気を持っている人だ」という認識をされてしまいます。(現在は、海外でも多くの方がマスクの着用をしています)
もちろん、予防としてもある程度の効果はあるので、満員電車や人混みでは着けていたほうが安心だと思います。
また、外出などで使用したマスクは表面に菌やウイルスが付着している可能性があるので、再装着は控えた方が更に安心です。何日も同じマスクをそのまま使い続けるなんて言語道断です!
(Medline HPより抜粋)
マスクを外す際は、ウイルスが着いている表面は手で触らず、紐を持って外してください。
マスクには、市販の紙製のマスクの他にも、繰り返し使えるカラフルな線維性のマスクや自作の布製マスクなど、いろいろ種類がありますね。中でも最近「N95マスク」というものが話題になっています。
N95マスクとは、最も捕集しにくいと言われる0.3μmの微粒子を95%以上捕集できることが確認されているマスクです(3M公式HPより抜粋)
従来のマスクよりも高い防護性・信頼性を持っている為、主に医療現場で使用されています。
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N95の「N」は「Not resistant to oil」、つまり耐油性が無いという事。そして「95」はフィルタが試験粒子を95% 以上捕集できることを表す規格です。多くのN95製品は、繊維の隙間を細かくした三次元構造にする事で、より微粒子をキャッチしやすくしています。
ですが、通販サイトで見比べても分かるように、平常時でも値段は従来のマスクと比べてもN95は非常に高くなっています。現在、厚生労働省からもN95のマスクを使用する場面は「エアロゾルが発生するような手技を行う時(気管内吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)」のみを推奨していて、それ以外のケースでは一般的な医療用サージカルマスクの使用を推しています。(厚生労働省リンク)
なんでかって…?
手に入らないからです!
本当に必要な現場で足りなくなっちゃうからです!
ただでさえ、医療現場でもまともなマスクが足りずに困窮している状態なので、ここで一般の方が「こっちの方が安全そうだ!」とN95を買い漁ってしまうと…本当に必要な現場の方々の手に渡らなくなってしまいます。
確かに、N95の方が安心感が高い事は間違いありませんが、個人的な意見を述べると、一般的な電車通勤や街歩き程度にN95はToo Much!です。隔離施設など、エアロゾルでウイルスが舞い散っているような室内では、逆にN95でないと危険です。(その5で簡単に説明します)
「ケガした!」「なんか調子悪い!」と言って毎回救急車を呼ぶようなものかもしれません。too muchです。
皆でそのような行動に出てしまうと、いざ本当に必要な人が現れた時に救急車が足りなくなってしまいますよね。タクシー使ってください。台数も多いし、気楽に使えると思いますよ。
じゃあ、ウイルスの生存期間ってどれくらいなんでしょうか?
マスクの表面に付着したとしたら、どれくらいそこで生きてるの?
米疾病対策センター(CDC)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)およびプリンストン大学(Princeton University)の研究チームの発表では
・空気中で3時間
・布、銅や木材で3時間
・ボール紙では24時間
・プラスチックやステンレスの表面では 72時間
と言われています。なので、材質にもよりますがマスクであれば3~24時間程度は生きているものと考えておいた方がいいでしょう。
敵は見えざる者達。「翌日になればウイルスも死んでるだろうから、次の日なら使っても大丈夫!」なんて、思わないほうが良さそうです。
はい、これから更に大切な事を言います。
ウイルスは目からも入ります。
仮にどれだけ厳重なマスクを着けていたとしても、飛沫が目に飛んだり、ウイルスが着いた手で目や鼻を触れば、結局ウイルスが体に入ってしまう事になります。
「明日からゴム手袋にガスマスクして出勤しますか?」。
これで感染はバッチリ防げますが、その代償に通気性は皆無ですし満員電車なんて地獄ですよ。せっかくセットした髪型は台無しですし、素晴らしい発汗作用でダイエット効果も抜群です。
マスクと併せて感染対策に重要な事、それは「手洗い」です。
実際、「人は1時間の間に25回前後、顔を触っている」という統計もあります。
ドアノブや電車のつり革など、感染者の手が触れた物はウイルスがついている可能性があります。そこに触れた手で、目や鼻を触る事で、間接的にウイルスが体の中に入ってしまうことになります。
そう考えると、こまめな手洗い・手の消毒がどれだけ大切かわかって頂けると思います。
コロナウイルスには、70%以上の消毒用アルコールで手の消毒。物の表面の消毒には0.1%以上の次亜塩素酸ナトリウム(いわゆるハイター)が有効であると厚生労働省でも説明しています。
当院では、受付に手指消毒用のアルコールと、マスクを用意しております。
ご自由に使用して頂いて大丈夫なので、十分な感染予防を心がけてください。
・まとめ
・マスクはあくまで感染者のウイルス飛散防止。十分な感染予防は期待できない。
・使用したマスクはまめに交換を。
・こまめな手洗いがウイルス感染の対策に重要。
・外出の際は、あまり手で目や鼻を触らない。
新型コロナウイルスに関するQ&A 厚生労働省HPより
新型コロナウイルス感染症に備えて 首相官邸HPより
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いくつかお問合せを頂いたので、「接触感染」について少し掘り下げた記事を書きました。
~接触感染について~ 新型コロナウイルス感染対策について正しい知識を! その2
合言葉は「正しく知る、正しく恐れる」!
青山通り歯科 矢島
記事一覧
1. ~コロナウイルスの基本情報~
2. ~接触感染と手洗いについて~
3. ~医療機関としての取り組み~
4. ~正しい情報の見つけ方とデマ対策~
5. ~自粛と医療現場の実際~